羽黒山荒澤寺地蔵堂
月山卯歳御縁年 本尊阿弥陀如来「御戸開」
明治以来155年ぶりに復興!
羽黒山荒澤寺地蔵堂 月山卯歳御縁年 本尊阿弥陀如来「御戸開」
~12年に一度めぐる紅い夏。月山からやってくる救いの御本尊~
※「紅い夏」=密教の世界では、阿弥陀如来は「紅玻璃色:深い紅色」で表現されます
かつて羽黒山寂光寺(現・出羽三山神社)では、旧暦4月3日、権現森 (別名兎森)の小堂にて、月山御本尊・阿弥陀如来夏峰修行の無事を祈る「御戸開」法要が営まれていましたが、いつしか荒澤寺地蔵堂にて行われるようになりました。当山では本年、明治以来断絶していた「御戸開」を155年ぶりに復興、特別拝観を行います。月山へ登拝される方はもちろん、されない方も、月山に御縁をいただくすべての方が、御本尊・阿弥陀如来の御来迎を受け、日々の暮らしに安寧と、豊かな実りが得られますよう、多くの皆様の御参拝をおまちしております。合掌
企画①【予約不要】特別拝観 地蔵堂
開堂日 | 6月9日(金)・10日(土)・11日(日)・16日(金)・17日(土)・18日(日) |
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拝観時間 | 午前の部10:00~12:00/午後の部13:00~15:00 ※時間厳守 |
入堂拝観料 | 500円 皆様から拝観料・御朱印料・御祈祷料等にて頂戴した御浄財は、 境内の整備保全に役立てさせていただきます。 このたびの特別拝観へ、多くの皆様の御参拝をたまわり、 三尊佛との尊い御縁を結んでいただきますことを心よりご祈念申し上げます。 |
内容 | ①梵天加持 ※拝観に先立って山伏が清めのお祓いをいたします。(堂内20名様毎) ②内陣入場 ※通常、立入禁止になっている格子の向こう側へ特別に入場することができ 3つの御厨子を順に参拝頂きます。(堂内出入口が狭いため5名ずつの入れ替え制となります) ③特別拝観 元・月山頂上安置 御裏三宝荒神像 ④特別拝観 地蔵堂本尊 荒澤延命地蔵大菩薩像 ⑤特別拝観 月山本尊仏 阿弥陀如来像 |
注意事項 | 山門と荒澤寺本堂(峰中堂)の階段が滑りやすいので足元にご注意下さい。 履物はサンダル・パンプス・ピンヒール・革靴・底の刻みが浅いスニーカー等は滑りますので、ご遠慮願います。 境内にはトイレがございません。いでは文化記念館と月山ビジターセンターの駐車場にあるトイレをご利用下さいます様お願い申し上げます。 当寺は山の中ですから、虫が沢山います。虫除けスプレーなど対策をお願いします。 |
企画②【要予約】特別拝観 地蔵堂・荒澤寺本堂(峰中堂) 御印文拝戴
開堂日 | 6月24日(土)~7月2日(日) ※時間厳守お願いします。 ※各回先着50名様 要予約 |
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拝観時間 | 午前の部 10:30分までに地蔵堂前に集合(所要時間は10:30~11:30の約1時間) 午後の部 14:30分までに地蔵堂前に集合(所要時間は14:30~15:30の約1時間) |
入堂拝観料 | Aプラン 両堂拝観+御印文拝戴 2,000円 Bプラン 両堂拝観+御印文拝戴+御朱印4枚組 4,000円 各プラン合計金額になります。 ※少人数で対応の為、当日御朱印の個別対応は出来ません。 事前に準備させて頂きますので、予約の際にAプラン〇名 Bプラン〇名と (当日来寺される方以外の分)追加で御印文拝戴之證が必要な方は枚数を教えて下さい。 |
内容 | 地蔵堂にて ①梵天加持 ※拝観に先立って山伏が清めのお祓いをいたします。(堂内20名様毎) ②内陣入場 ※格子の向こう側へ特別に入場し3つの御厨子を順に参拝頂きます。 (堂内出入口が狭いため 5名ずつの入れ替え制となります) ③特別拝観 元・月山頂上安置 御裏三宝荒神像 ④特別拝観 地蔵堂本尊 荒澤延命地蔵大菩薩像 ⑤特別拝観 月山本尊仏 阿弥陀如来像 荒澤寺本堂(峰中堂)へ移動 ※秋の峰入り修行者のみ入ることが許されたお堂。正面入り口(中ノ口)より入堂 ⑥元・羽黒山上華蔵院所蔵阿弥陀三尊像 特別拝観 ⑦御印文拝戴の儀 ⇒「決定来迎御印文」を頭上に頂くことで月山阿弥陀如来とご縁を結ぶ儀式。 ⑧御印文拝戴之證をお授けいたします ⇒この御印文は、阿弥陀様の慈悲の「お印」です。いつも肌身に持って暮らせば日々安楽、月山に持って登れば無事安全、臨終に持って祈れば三尊来迎(阿弥陀様のお迎え)の御守となります。 |
場所 | 羽黒山荒澤寺 アクセス情報はこちら |
駐車場 | このご開帳に際し、磐梯朝日国立公園 月山ビジターセンターを臨時駐車場としてお借りしております。 車でお越しの方はこちらをご利用ください。路上駐車は絶対禁止ですので、ご協力をお願い致します。 また、当寺にはトイレがございませんので、駐車場の公衆トイレをご利用ください。 駐車場から荒澤寺地蔵堂まではおよそ280m4分程かかります。 ※山の中ですので、虫よけスプレーは必須です。 駐車場MAPはこちら |
<お申し込みについて>
■申込方法
ご希望の日程の【午前の部】or【午後の部】を選択し、申込サイトにお進みください。
1)ページ内の中央付近にある「申込む(赤いボタン)」クリックしてください。
2)申込サイトの会員登録(お名前・メールアドレスパスワードの入力)を行うと、次のページで申込詳細をご入力いただけます。
※申込締切は前日17:00までです
・6月24日(土)【午前の部】・【午後の部】
・6月25日(日)【午前の部】・【午後の部】
・6月26日(月)【午前の部】・【午後の部】
・6月27日(火)【午前の部】・【午後の部】
・6月28日(水)【午前の部】・【午後の部】
・6月29日(木)【午前の部】・【午後の部】
・6月30日(金)【午前の部】・【午後の部】
・7月1日(土)【午前の部】・【午後の部】
・7月2日(日)【午前の部】・【午後の部】
※操作方法がわからない方は、メールにてお申込みの内容をお送りください
企画③【要予約】羽黒町観光協会協同企画
企画展示 いでは文化記念館
特別拝観 地蔵堂・荒澤寺本堂(峰中堂)御印文拝戴
開堂日 | 10月1日(日)~14日(土) 但し、いでは文化記念館休館の為3日(火)10日(火)は特別拝観しません ※時間厳守お願いします。 ※各回先着50名様 要予約 |
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拝観時間 | 協同企画は午前の部のみ 9:30までにいでは文化記念館に集合 【タイムスケジュール】10月1日(日)~の特別拝観について 9:30 いでは文化記念館にて受付(トイレ)レクチャールームにて副住職より簡単な説明 10:00 いでは文化記念館発 月山ビジターセンター駐車場に移動 10:10 月山ビジターセンター駐車場 着(トイレ) 〜駐車場から荒澤寺へ 徒歩で移動(280mおよそ5分)〜 10:30 荒澤寺地蔵堂にて(堂内15名~20名)①梵天加持 ②内陣入場 ③特別拝観 〜峰中堂に移動〜 11:00 荒澤寺本堂(峰中堂)にて(中ノ口より入堂)⑥峰中堂入堂 ⑦特別拝観 ⑧御印文拝戴の儀 ⑨御印文拝戴之證授与 11:30 地蔵堂前もしくは峰中堂であいさつ後、解散 ※所要時間は9:30~11:30の約2時間 |
入堂拝観料 | Aプラン 両堂拝観+御印文拝戴 2,000円 Bプラン 両堂拝観+御印文拝戴+御朱印4枚組 4,000円 各プラン合計金額になります。 協同企画になりますので上記2,000円とは別にいでは文化記念館の入館料が必要です (一般400円 大学・高校生300円 小・中学生200円) ※少人数で対応の為、当日御朱印の個別対応は出来ません。 事前に準備させて頂きますので、予約の際にAプラン〇名 Bプラン〇名と (当日来寺される方以外の分)追加で御印文拝戴之證が必要な方は枚数を教えて下さい。 |
内容 | 地蔵堂にて ①梵天加持 ※拝観に先立って山伏が清めのお祓いをいたします。(堂内20名様毎) ②内陣入場 ※格子の向こう側へ特別に入場し3つの御厨子を順に参拝頂きます。(堂内出入口が狭いため 5名ずつの入れ替え制となります) ③特別拝観 元・月山頂上安置 御裏三宝荒神像 ④特別拝観 地蔵堂本尊 荒澤延命地蔵大菩薩像 ⑤特別拝観 月山本尊仏 阿弥陀如来像 荒澤寺本堂(峰中堂)へ移動 ※秋の峰入り修行者のみ入ることが許されたお堂。正面入り口(中ノ口)より入堂 ⑥元・羽黒山上華蔵院所蔵阿弥陀三尊像 特別拝観 ⑦御印文拝戴の儀⇒「決定来迎御印文」を頭上に頂くことで月山阿弥陀如来とご縁を結ぶ儀式。 ⑧御印文拝戴之證をお授けいたします ⇒この御印文は、阿弥陀様の慈悲の「お印」です。いつも肌身に持って暮らせば日々安楽、 月山に持って登れば無事安全、臨終に持って祈れば三尊来迎(阿弥陀様のお迎え)の御守となります。 ※御印文拝戴之証を代理で受けたい方は御一人分1,000円となります。 |
集合場所 | いでは文化記念館 アクセス情報はこちら |
注意事項 | 山門と荒澤寺本堂(峰中堂)の階段が滑りやすいので足元にご注意下さい。 履物はサンダル・パンプス・ピンヒール・革靴・底の刻みが浅いスニーカー等は滑りますので、ご遠慮願います。 境内にはトイレがございません。いでは文化記念館と月山ビジターセンターの駐車場にあるトイレをご利用下さいます様お願い申し上げます。 当寺は山の中ですから、虫が沢山います。虫除けスプレーなど対策をお願いします。 |
<お申し込みについて>
■申込方法
ご希望の日程の【午前の部】を選択し、申込サイトにお進みください。
1)ページ内の中央付近にある「申込む(赤いボタン)」クリックしてください。
2)申込サイトの会員登録(お名前・メールアドレスパスワードの入力)を行うと、次のページで申込詳細をご入力いただけます。
※申込締切は前日17:00までです
・10月1日(日)【午前の部】
・10月2日(月)【午前の部】
・10月4日(水)【午前の部】
・10月5日(木)【午前の部】
・10月6日(金)【午前の部】
・10月7日(土)【午前の部】
・10月8日(日)【午前の部】
・10月9日(月)【午前の部】
・10月11日(水)【午前の部】
・10月12日(木)【午前の部】
・10月13日(金)【午前の部】
・10月14日(土)【午前の部】
※操作方法がわからない方は、メールにてお申込みの内容をお送りください
御朱印について
155年ぶりの御戸開法要復興、特別拝観の三尊佛初めて御朱印をお授けします。
※荘内の手すき和紙
日本古来の原料から生まれた「和紙」は長年、信仰や文化、暮らしに深い関わりを持ってきました。その耐久は実に1000年以上と言われています。ここに息づく羽黒山修験道もまた、地元の自然、循環の中で力をいただき1400年以来今なお実践しています。この自然から生まれたモノの力に触れ、神佛をいただき、また身にまとい、自然と一体化することを、地元で生まれた和紙「荘内の手すき和紙」と共に継承してまいります。この度は、御朱印、梵天に使用させていただいております。
長谷川聡(長谷川和紙工房代表)
山形県庄内地方で唯一の和紙職人・長谷川聡氏。1991年より日本三大和紙のひとつ「美濃和紙」の工法を学び、長年和紙作りに従事。2017年、生まれ故郷の山形県鶴岡市に工房を移設。地元ならではの和紙作りを営み、和紙文化を継承しています。神佛の不思議な御縁をいただき、寅歳御縁年の御朱印にも使用させていただきました。
・書置きのみ 4枚セット 2,000円 または 単品 月山大権現 500円
元・月山頂上安置 御裏三宝荒神「荒神王」
地蔵堂本尊 荒澤延命地蔵大菩薩「地蔵尊」
月山本尊仏 阿弥陀如来 「弥陀尊」
月山本尊御神号 「月山大権現」
月山御山立大祭
~御山に紅蓮※の花盛る。卯の年ごとにめぐり来る、月山の紅い夏。~
かつて月山では旧暦六月上旬、夏山期間が始まると「御山が立つ」、旧暦七月下旬または八月上旬に期間が終わると「御山が揚がる」などと呼び慣わされ、御山は全国各地からの多くの登拝者でにぎわったとされます。
残念ながら、こうした文化や習わしは明治以降、永く忘れ去られてしまいましたが、本年令和5年、卯歳御縁年を期に「御戸開」が155年ぶりに再興されたことを記念し、現代以降「月山のお山開き」とされてきた7月1日、かつての月山登拝口であった荒澤寺の地蔵堂にて、月山登拝の安全無事、参拝各位の日々の安心安寧・飛躍向上を祈願する「月山御山立大祭」を厳修いたします。
ところで本年の干支「卯」は、草木の芽や葉が茂ってウサギが飛び跳ねる、「物事の伸長・跳躍」の気に満ちるとされています。前年の「寅」は、トラのごとく力強く、勇猛に物事を推し進める気勢だったのに対し、本年はウサギのように耳を立てて注意深く、慎重着実に物事を伸張させ軌道に乗せる、という違いがあります。
コロナ禍から立ち直りつつあっても物価高騰が続くまだまだ不透明なこの先、長く暗い闇夜を照らす灯を得て、日々の生活の安寧、安全で着実な進展をお望みの皆様には是非、御山立大祭の特別祈願をお受けになり、今年一年、残り後半も堅実で飛躍した一年をお過ごしいただきますようご案内申し上げます。
※昨年寅歳に御縁のあった鳥海山御本尊・薬師如来が瑠璃色(深い青色)の仏であるのに対し、本年卯歳に御縁のある月山御本尊・阿弥陀如来は、紅玻璃色(深い紅色)の仏として知られます。当山ではこの度、本尊阿弥陀如来を象徴する紅色の蓮華を宝前にお供えし、「紅玻璃色」を卯歳御縁年全体のテーマカラーとして本年を奉祝いたします。
コロナ禍の続く不透明なこの先、力強く乗り切る活力と、実り多き成果をお望みの皆様には是非、この年この日ならではの特別・特上の御祈祷をお受けになり、今年一年、残り後半も虎のごとく強運に、旺盛な勢いでお過ごしいただきますよう、奮ってご案内申し上げます。
癸卯特別御祈祷
日時 | 令和5年7月1日(土)8:00~9:00 |
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ご祈祷料 | ・特別祈祷木札5,000円 (先着48名※申込人数達し次第受付終了) ・特上祈祷木札150,000円 (長さ約90cm×最大横幅20cm/先着5名※申込人数達し次第受付終了) ※当日堂内での御参列は、申込順で10名様とさせて頂きます。 |
お申込方法 | 締め切り 6月24日(日) メール info@hagurosan-shozenin.or.jp ①御芳名 ②住所 ③電話番号 ④願意 ⑤御祈祷料金 ⑥参列の有無 ⑦お札郵送ご希望の有無 ⑧郵送以外の方は受取方法 (当日参列〇名・〇月〇日に正善院に来寺予定等) 御祈祷終了後御札はお渡しします。 |
羽黒山荒澤寺について
羽黒山荒澤寺の建つここ荒澤の地の草創は、今から千四百年以上も昔、出羽三山を開山された能除聖者(=蜂子皇子)が、湯殿山開創の際に授かった〝火〟と〝水〟二つの尊い宝珠を安置するため、この地に草庵を結ばれたことに由来します。聖者は、めらめらと燃え盛る火の珠を象徴する不動明王と、こんこんと湧き出るお湯(水)の珠を象徴する地蔵菩薩を庵に安置され、この二仏から放出された清浄な炎を永く後世に伝え残すため、常火堂を建立されました。
その後荒澤は、月山御室(今日の月山本宮)へ到る正式な参道登拝口として、また月山・湯殿登拝の際の厳格な精進作法を伝える修行道場・荒澤寺として徐々に堂塔が整えられると、山内の諸事は全て荒澤の常火が用いられ、夏峰登拝には多くの参拝者で賑わうなど、一大霊場としてその威容を誇りました。
残念ながら二つの宝珠と常火は時代とともに失われてしまいましたが、荒澤寺は能除聖者開創以来の羽黒山修験道の根本聖地として、秋の峰入り修行の道場として、不動の地位を築いて今日に到ります。
地蔵堂と御戸開法要について
地蔵堂は、羽黒山荒澤寺を構成する仏堂の一つで、地蔵菩薩を本尊として、右に阿弥陀如来、左に三宝荒神をお祀りする御堂です。また、幕末の火災や明治の廃仏によって境内の諸堂の多くが失われたため、今日では庄内三十三観音霊場首番札所、東北三十六不動尊霊場第六番札所の拝礼所としても、多くの巡拝者が訪れます。かつて羽黒山寂光寺(現在の出羽三山神社)では、山内南東の権現森(別名兎森)の小堂にて、毎年旧暦四月三日、月山御本尊・阿弥陀如来へ夏峰修行の無事を祈る〝御戸開〟法要が営まれてきましたが、いつしか荒澤寺地蔵堂にて行われるようになりました。本年、月山卯歳御縁年を奉祝して、明治以来断絶していた御戸開法要を百五十五年ぶりに復興する運びとなりました。
阿弥陀如来について
阿弥陀如来は、〝無量寿如来〟や〝無量光如来〟という別名が示す通り、限りない寿命と光明の徳を具えた仏様で、いつであってもどこにいても、私たち衆生を必ず救いとって下さる有難いお方です。
阿弥陀さまは、はるか遠く西方の〝極楽浄土〟という土地を主宰しておられますが、大変慈悲深き故に、私たちが人生の最期を迎えるとき、極楽から私たちをお迎えに来て下さいます(来迎)。また阿弥陀さまは、あの世へ旅立つときだけでなく、私たちが日頃感じる生きづらさや悩み苦しみを、泣いている我が子を優しく家へと連れ帰る父母のように、極楽へ救いとって下さる仏様でもあります。ここ庄内地方では、能除聖者の月山御開山に際し、山頂に阿弥陀さまが御来迎になったことから、生前と死後の無事安楽、農作物と海産物の豊作豊漁を守護する〝月山大権現〟という神様として御鎮座になりました。
地蔵菩薩について
地蔵菩薩は、迷いの世界とされる六道輪廻をくまなく巡回し、人々の悩み苦しみを救って阿弥陀さまの極楽浄土へ導いて下さる仏様です。また、阿弥陀さまが菩薩だった頃を〝法蔵菩薩〟とお呼びしますが、御名前や菩薩としてのお働きの徳目(誓願)が〝地蔵菩薩〟と近似していることから、我が国では地蔵尊と阿弥陀仏は同一人物(同体異名)、もしくは遠い極楽の阿弥陀さまの代わりに娑婆世界を救って下さる身近な仏様として、疫難消滅・除病延命・無事安産の仏様として、幅広い信仰を集めてきました。
三宝荒神について
三宝荒神は、全国的にはかまど・台所の神様として有名ですが、本来は私たちの迷いの心を神格化した存在で、心が善事に向けば福を、悪事に向けば災をもたらす神様です。そして心は迷う私たちだけでなく、悟った仏様にも存在するため、当山では阿弥陀・地蔵・荒神を三尊一体としてお祀りしております。今般の御戸開では、かつて月山頂上に安置されていた〝御裏三宝荒神〟像を特別に拝観いただけます。
管長挨拶
この度は、荒澤寺地蔵堂の卯歳御縁年本尊御戸開へ多くの皆様の御参拝を賜りまして、篤く御礼申し上げます。また昨年の寅歳御縁年の秘仏御開帳同様、今回の御戸開に際しても多くの方々に一方ならぬ御協力と御尽力をいただきましたこと、月山御本尊・阿弥陀さまに代わり深く感の意を表したいと思います。
さて明治の神仏分離以来、実に155年ぶりとなる今回の本尊御戸開に対し、私は現代日本の諸問題にも通底する、ある根本的課題をもって取組むことと致しました。すなわち、「心の安寧と仏の救済の可視化」です。「可視化」とはつまり、「目に見えるようにすること」ですが、今回は特に「私たちに心身の安寧が得られるよう、仏様の救済が感じられるよう、わかりやすく物や形で表現する」。これをテーマにして取り組もうと思い到りました。
そこで初の試みとして、阿弥陀様と皆様をおつなぎする「御印文拝戴」という結縁行事をおこなおう。それにより本尊様から現当二世(生きている間と死んでから後)の安らぎがもたらされ、この不安に満ちた世の中にあっても安心し、日々の暮らしに救いの光明が感じられるのではないか。こうして数百年来の伝統行事の中に初の試みを盛り込むことを発願し、本年御戸開を皮切りに実施することと致しました。
思えば私たちは、月明かりのない、暗くて長い夜道を歩くようなことがあれば、例えようがないほどの不安に襲われることでしょう。また、長年連れ添った夫婦の間でさえ、気心の知れた親子の間でさえ、感謝の気持ちを言葉や形で表さなければ、なかなか相手には伝わらず、血の通わない冷めきった関係性に陥ってしまいがちです。
しかし逆をいえば、夜道を明るく照らす電灯があれば、暗くても安心して家路につくことができ、「いつもありがとう」という気持ちを、バラやカーネーションの花束に込めて優しい言葉とともに奥様やお母様に手渡せば、多少なりともお互いの温かな気持ちは通じ合うのではないでしょうか。
同様に、仏様はいつでもどこにあっても、どうしたら私たち衆生が悩み苦しみを脱して安楽な境地に入れるか、どのような手立てをもってすれば衆生が救われるか、ということを常に考えておられます。
しかし私たちは、ただでさえ悩みと苦しみが満ちるとされるこの娑婆世界で、先行きが不透明なまま、常に不安感に覆われた日常生活の真っただ中をただただ生きることに精一杯で、仏様の御慈悲が常に私たちに向けられていることについては、残念ながらなかなか実感することができない、というのが実情ではないでしょうか。
そして気がつけば、コロナ禍は、大分落ち着いてきた感があるものの、未だ根本的終息を見ぬまま早くも三年の月日がたち、ロシアによるウクライナ侵攻も、停戦の目途が依然立たぬまま一年が経過し、令和5年(2023)も4月の新年度が過ぎ、身の回りの食料や日常品の物価も続々と値上がりしております。そうした中、私たちの暮らしぶりは一向にして劇的な好展開もないまま、先行きの見通せないトンネルのような状況が続いています。
こうした暗闇が続く長い道のりを、明かりなく歩かねばならぬような不安な状況下でも、庄内南東の方にはいつも変わらず月山のなだらかで優しい稜線が広がっているように、昔も今も絶えず降り注ぐ阿弥陀様の慈悲の光によって、今こそ多くの方に心身の安寧を得てもらいたい。そして日々の暮らしに明るさと賑わいがもたらされ、お互いがお互いを思いやり、家庭環境や地域社会がよりよくなってもらいたい。こうした願いを込めて、今般は「御印文拝戴」という結縁行事の執行を決定し、堂内諸尊と五色の紐で結んだ「御戸開結縁宝塔」右側には、上記を踏まえた『観無量寿経疏』の要文「彌陀本誓願 極樂之要門 定散等廻向 速證無生身としたためました。
そして月山の阿弥陀様には、鳥海山のお薬師様と並んで平安期以来、戦乱・災害が起こらぬようにと朝廷から奉幣されてきたことも鑑みて、昨年の鳥海山寅歳御縁年同様に引き続き、遥か西方のウクライナの地が速やかに国土安穏・万民快楽となるよう、また地元・庄内地方の皆様にも災害なく無事に、長寿を全うし旅立たれる方があれば安らかに、地域社会もうさぎが跳びはねるように活気に満ちあふれ、昨年同様実り豊かで得るもの多き秋が到来するよう祈りを込めて、宝塔左側には「天下和順 兵厲寧息 財穀豐饒 現當安樂」と書き入れました。
以上本年も引き続き、世界の人々と地域の皆様に、争いや災害なく無事に豊穣のときを迎えていただけるよう、月山卯歳御縁年の御戸開の妙縁に際して一心に御祈願申し上げ、私の御挨拶と致します。
南無帰命頂礼大慈大悲月山大権現 合掌